先日、八重洲の建設工事現場で鉄骨の梁が落下し、死亡事故が発生した。
事故直後のニュースの解説がいい加減すぎて開いた口がふさがらなかった。明らかにおかしなCG動画、アナウンサーの説明が「梁」のことを「柱」を意味するような言葉で解説していたり。
当初、グレーン操作で問題が発生し、梁を引っかけて仮止め状態の梁が落ちたのだろうか?思っていました。
普通に考えて理解不能なこの映像。夕方から気になったので事故現場の写真を検索していくつか見て考えてみました。
動画の撮影方向と現場の方向を確認し、落下したであろう部材の種類や残骸をみていました。残念なのが事故直後の写真はないようで、救助のために鉄骨がそれなりに移動されたあとの状態の写真しか上がってなさそうでした。とはいえ、歪んだ鉄骨や残骸によっていくつか疑問がわき、一番ひっかかった点は、潰された足場材の多さでした。全体的に見てもこんなに多くつぶれた格好の足場材があるのが異常に感じました。写真を探していると、現場説明の画像なども目にすることになり、現時点(2023/09/22 23:00)でまともそうな事故現場の解説が行われているのは産経の「鉄骨落下、仮止め直後に落下か 東京・八重洲のビル」 2023/9/20 17:25の解説。作業員の位置が怪しい気はするものの、事故現場の写真を照らし合わせると矛盾が少なく感じる。NHKをはじめ、読売などの解説も正直いい加減すぎる。わからないなら現場の解説などしないほうがよっぽどいい。
産経の記事を前提とすると、もうこれ個人の作業ミスとかそういうレベルじゃないです。明らかに(現場の)工程指示がおかしい。
そもそも梁とは柱と柱をつないで建物の屋根や床を支える水平に入る部材のことです。構造的に梁と梁をつないで細かく骨を入れないと床が作れません。そのため梁は大きく分けて2種類存在します。今回事故が起きたのはB梁のようです。
そのB梁を組んでいる時にG梁が落下?理屈で考えてもあり得ません。でも産経の記事を見ると…どうもG梁もB梁も意識せず組んでいるように思えます。
本来、梁は1本の部材ですが、搬入や荷吊りによる制限のために分割せざる負えない場合が多々あります。分割された部材は現場で結合する必要があります。本来であればG梁の結合を行い、柱に接続、固定した後にB梁を入れ込むはずなのですが…G梁の分割された結合部も仮ボルトの状態で組み上げていったように感じます。解説や落下の状態をみるとG梁と柱がつながっていたのかも怪しいです。
普通に考えてありえない結果を見ると、一般的な工程を省いて作業を進めていたとしか考えられません。
その理由が、工期によるものなのか、お金によるものなのかはわかりませんが。
いづれにせよ現場を理解できていない人間が現場を指揮していた結果でしょう。現場の外に被害が出なかったのだけが唯一の救いに思えます。